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2006年8月29日 (火)

【約束の冬】宮本輝


約束の冬(上)

オススメ度 ★★★★☆

「十年後の十二月五日の朝、地図に示したところでお待ちしています。お天気が良ければ、ここでたくさんの小さな蜘蛛が飛び立つのが見られるはずです。ぼくはそのとき、あなたに結婚を申し込むつもりです」(上巻の帯より)。

蜘蛛が飛ぶ!? 帯のこの文章を読んで、最初に感じたことでした。どういうことか知りたくて、その興味だけで、買ってしまいました(^^;

子供の蜘蛛が空中に糸を出し、うまく風に乗って飛び立ち、自分の世界への巣立っていく。。。そういう現象を「飛ぶ」と表現したのでしょう。学生を卒業して、新たに社会人として、自分の世界を確立するために巣立っていくという、今の私の状況を表しているかのようです。普段はあまりお目にかかりたくないクモですが、なんか応援してました。

そんな空飛ぶクモの話は、俊国と留美子の「約束」にまつわるエピソード。他に、桂二郎と俊国の祖父、小巻と留美子の間にも「約束」が。この作品は「約束」がテーマになっている。

「約束の冬」を読んでいて思ったことは、人は他人との約束を拠り所にして、生きていくのかもしれないということ。そう考えると、「約束を守る」って、人との繋がりを感じられる、すごく素晴らしいことなんじゃないかな。

ラストは、ハッピーエンドになりそうな予感を残しつつ終わり、ちょっと中途半端な感じがするのですが、読む人が自分の中でラストを作っていけばいいのかなと思います。

宮本輝の本には葉巻、高級割烹、古典文学など、シブい大人を感じさせるものが登場する。意外とそういうシブさがいい味を出していて、好きだったりする。特に徒然草の一節は心に響くものでした。

単行本でも文庫でも、結構な長さの小説で、しかも、中盤はやや単調になるので、飽きてくるかもしれません。でも、何か一つでも(一文でも)残るものがあれば、読んでよかったと思えるのではないでしょうか?

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コメント

はじめまして
私も宮本輝さんの作品が好きです。確かに、もう少しでいいから
納得いくハピーエンドに近づけて
欲しいことばかりです。
一番初めに読んだのは、
「泥の河」でした、それ以来
読み続けています。

昨年、東野圭吾さんは直木賞を取りましたよね。
なんだったかな~。
読みたいのですが、思い出せないのです。
おしえて~~~下さい。


投稿: 猪股勝己 | 2006年8月29日 (火) 18時04分

>猪股さん

はじめまして
コメントありがとうございます。

私は普段は、ミステリー小説がメインなのですが、たまに宮本輝などの純小説も読みます。ミステリーとは違う部分を使って読んでいるのか、すごく気分転換になるので、よく読んでいます(森のなかの海とか好きです)。

東野圭吾の直木賞受賞作は、「容疑者Xの献身」です。ちなみに、直木賞候補作品として、「秘密」、「白夜行」、「手紙」、「片思い」、「幻夜」があります。

投稿: valentia | 2006年8月29日 (火) 20時04分

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